2017年7月31日 (月)

皮膚病雑記帳No.203

●漢方エキス製剤の効かせ方

 7月9日の日本東洋医学会島根県部会特別講演で谷川醫院の谷川聖明先生に『漢方エキス製剤の効かせ方』という演題で講演していただきました。

 エキス製剤は煎じ薬に比べて、簡単に手軽に飲める、一定の品質のものを飲める、煎じるときのにおいの心配がないなどの長所があります。効かせ方を4つに分けて説明されました。

 1.証に随う(随証治療)。例えば同じ膝関節痛の患者さんが2人いた場合、膝に水がたまり、触れると熱感があり、炎症が強い人には麻黄の入った越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を、膝には水がたまっておらず、触れても熱感がなく、足が非常に冷たい人には附子の入った桂枝加朮附湯を処方します。同じ病名でも体質により処方が異なります。

 2.服用の仕方。インフルエンザの時には麻黄湯がよく処方されますが、効果が出るまで時間を空けず増量することが必要なことがあります。

 3.二剤の併用。慢性の経過で2つの病態が併存する場合、足りない作用を増強する場合、副作用を軽減する場合などは二剤を併用する必要があります。

 4.製薬メーカーの使い分け。同じ方剤でも製薬メーカーによって微妙に生薬の分量が異なり、効き方が違ってくるので、知った上で方剤を処方する必要があります。

 煎じ薬の方が良く効くと思われていますが、始めに挙げたエキス剤の長所を生かしながら、上手くエキス剤を使うのが現代医療における漢方治療の一つのあり方のように説明されました。東洋医学会の会員が対象だったので、ある程度漢方に詳しい人が多い中、大変役に立つ講演会だったと思います。

2017.7.31記載

2016年7月30日 (土)

皮膚病雑記帳No.191

イノベーション漢方

 

 今月10日に浜田市で日本東洋医学会島根県部会が開催されました。福岡県飯塚病院 東洋医学センター漢方診療科部長の田原英一先生に特別講演をしていただきました。

 演題名が「イノベーション漢方~漢方の普通じゃない使い方」で、聴く前から興味をそそられました。田原先生のレジュメには、イノベーション(innovation)とは「技術革新」あるいは、物事の「新機軸」「新しい切り口」と解釈されていて、漢方の新しい切り口に対して「イノベーション漢方」という言葉を与えたと書かれています。

そのイノベーション漢方から3例を紹介します。
 尻も口も一緒:乙字湯(おつじとう)は痔に処方される漢方薬ですが、それを口囲の皮膚炎に処方されていました。口と肛門は解剖学的、組織学的に近いという発想からで、とても面白い使い方です。レジュメには「乙字湯は原南陽が創った処方とされる、痔の薬である、というのが世の中のステレオタイプである。先行するイメージがあると、それ以外の使用法には応用できないものだ」と記されています。

芍薬甘草湯が効かないこむら返り:こむら返りには芍薬甘草湯がファーストチョイスですが、なかには無効なケースがあり、それに疎経活血湯(そけいかっけつとう)を処方されていました。レジュメには「疎経活血湯は筋肉・神経の疼痛性疾患に用いられるが、その構成生薬から駆瘀血、補血作用に加えて利水剤的な側面もあり、全体的に血流改善作用、鎮痛作用などが有効に働くものと思われる。」と記されています。

舌の痛みは筋肉痛:舌痛症の患者さんが時々こられますが、難治なことが多く、私は加味逍遥散などを処方することが多い。レジュメには「一部の舌痛症の中に舌質の暗赤化を伴う、瘀血~血虚を主とする病態が強く示唆されるものがある。舌痛症を舌の血行不良に伴う痛み、すなわち舌の筋肉痛と考えると、例えば疎経活血湯が有効な舌痛症が存在することが分かった。発生学的にも舌は頚部を支える筋肉と同系統であり、『喉から手が出る』状態に他ならない。」と記されています。

乙字湯の解剖学的知識、疎経活血湯の発生学的知識による処方は大変興味深く、こういった切り口のアプローチが大変参考になりました。私も口の周りににきびがあって、胃腸が悪い患者さんに、六君子湯(りっくんしとう)を処方して改善した症例を経験しており、口と胃腸はつながっていて、似たような使い方かと思いました。イノベーション漢方処方、増やしていこうと思います。

 

2016.7.30記載

2005年11月28日 (月)

診療案内

皮膚科全般にわたって診療していますが、アトピー性皮膚炎の総合的治療、皮膚疾患のレーザー治療、漢方治療、ヘルペス(帯状疱疹、単純疱疹)の治療などに力を入れています。

その他のカテゴリー

最近のトラックバック

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ