2016年7月30日 (土)

皮膚病雑記帳No.191

イノベーション漢方

 

 今月10日に浜田市で日本東洋医学会島根県部会が開催されました。福岡県飯塚病院 東洋医学センター漢方診療科部長の田原英一先生に特別講演をしていただきました。

 演題名が「イノベーション漢方~漢方の普通じゃない使い方」で、聴く前から興味をそそられました。田原先生のレジュメには、イノベーション(innovation)とは「技術革新」あるいは、物事の「新機軸」「新しい切り口」と解釈されていて、漢方の新しい切り口に対して「イノベーション漢方」という言葉を与えたと書かれています。

そのイノベーション漢方から3例を紹介します。
 尻も口も一緒:乙字湯(おつじとう)は痔に処方される漢方薬ですが、それを口囲の皮膚炎に処方されていました。口と肛門は解剖学的、組織学的に近いという発想からで、とても面白い使い方です。レジュメには「乙字湯は原南陽が創った処方とされる、痔の薬である、というのが世の中のステレオタイプである。先行するイメージがあると、それ以外の使用法には応用できないものだ」と記されています。

芍薬甘草湯が効かないこむら返り:こむら返りには芍薬甘草湯がファーストチョイスですが、なかには無効なケースがあり、それに疎経活血湯(そけいかっけつとう)を処方されていました。レジュメには「疎経活血湯は筋肉・神経の疼痛性疾患に用いられるが、その構成生薬から駆瘀血、補血作用に加えて利水剤的な側面もあり、全体的に血流改善作用、鎮痛作用などが有効に働くものと思われる。」と記されています。

舌の痛みは筋肉痛:舌痛症の患者さんが時々こられますが、難治なことが多く、私は加味逍遥散などを処方することが多い。レジュメには「一部の舌痛症の中に舌質の暗赤化を伴う、瘀血~血虚を主とする病態が強く示唆されるものがある。舌痛症を舌の血行不良に伴う痛み、すなわち舌の筋肉痛と考えると、例えば疎経活血湯が有効な舌痛症が存在することが分かった。発生学的にも舌は頚部を支える筋肉と同系統であり、『喉から手が出る』状態に他ならない。」と記されています。

乙字湯の解剖学的知識、疎経活血湯の発生学的知識による処方は大変興味深く、こういった切り口のアプローチが大変参考になりました。私も口の周りににきびがあって、胃腸が悪い患者さんに、六君子湯(りっくんしとう)を処方して改善した症例を経験しており、口と胃腸はつながっていて、似たような使い方かと思いました。イノベーション漢方処方、増やしていこうと思います。

 

2016.7.30記載

2005年11月28日 (月)

診療案内

皮膚科全般にわたって診療していますが、アトピー性皮膚炎の総合的治療、皮膚疾患のレーザー治療、漢方治療、ヘルペス(帯状疱疹、単純疱疹)の治療などに力を入れています。

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