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2017年12月31日 (日)

皮膚病雑記帳No.208

●当帰湯

 漢方薬に当帰湯という方剤があります。あまり使われていないようです。効能・効果は背中に寒冷を覚え、腹部膨満感や腹痛のあるものと書かれていて、胸背部の帯状疱疹後神経痛に効くかもしれないと思い、文献を検索したところ、すでに使われている報告がありました。


 「帯状疱疹による胸背部痛に対するツムラ当帰湯の使用経験(県西部浜松医療センター麻酔科 鈴木 滋 先生著 漢方診療Vol.10 No.6)」という文献で、考察の中で、当帰湯はその処方に大建中湯を含むため、冷え、腹部膨満、腹痛など、大建中湯証に当たるものに投与してよいとされ、単なる胸痛だけでなく。締めつけられるような、狭心症を疑わせるような胸背部痛で、四肢の冷感を伴うような例には奏効するとみてよいと書かれていました。当帰湯が単なる鎮痛剤としてのみならず、四肢の冷感も改善する例があることは興味深く、循環改善薬としても作用していることが示唆されるとも書かれていました。


ちなみに当帰湯の構成生薬は、当帰、半夏、桂皮、厚朴、芍薬、人参、黄耆、山椒、甘草、乾姜で、大建中湯の構成生薬は人参、山椒、乾姜で、確かに当帰湯に大建中湯が含まれています。当帰湯の使用目標は、冷え症で血色の悪い比較的体力の低下した人で、胸腹部より背部にかけて、疼痛を訴える場合に用い、特に狭心症様、肋間神経痛様の痛みがある場合となっています。大建中湯の使用目標は体力が低下した人で四肢や腹部が冷え、腹痛、腹部膨満、鼓腸のある場合となっており、当帰湯は腹痛、腹部膨満はあって、さらに胸背部痛がある場合に効果的と思われます。


帯状疱疹は胸背部に発症することが多く、胸背部痛が西洋医学的治療で改善せず、腹痛、腹部膨満を伴う帯状疱疹の患者さんに当帰湯を処方してみようと思います。

2017.12.31記載

 

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