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2016年12月30日 (金)

皮膚病雑記帳 No.196

乾癬の漢方治療

 乾癬が登場する文学作品をネットで探していたら、窪島誠一郎の『かいかい日記 ~乾癬と無言館と私~』というタイトルの本が見つかりました。早速購入して読んでみました。窪島誠一郎は
1941(昭和16)年東京に生まれ、信濃デッサン館・無言館館主、作家をしています。1979(同54)年、長野県上田市に夭折画家のデッサンを展示する「信濃デッサン館」を、97(平成9)年、同館隣接地に戦没画学生慰霊美術館「無言館」を設立しました。エッセイ『かいかい日記 ~乾癬と無言館と私~』のでは、かゆくてたまらない乾癬が登場します。皮膚科医院、漢方専門の診療所などに行くも改善せず、医院の待合室で聞いた北海道の乾癬、アトピーに良いという石油の混じった温泉まで出掛けて行き、そこでの乾癬患者との交流を描いています。結局、温泉で一時的に乾癬の症状は改善するも、また悪化したようです。

 ところで乾癬の治療は生物学製剤の開発、光治療の進歩などで、かなり西洋医学で良くなるケースが増えてきました。しかし乾癬の患者さんの体質を変えることを目指す漢方治療はまだまだこれからも必要とされる治療と思います。

 しかし乾癬の漢方治療は難しく、北里大学東洋医学研究所所長の花輪壽彦先生はテキスト『漢方診療のレッスン』の中 で、「乾癬は正直言って一時的によいことはあっても難治のものが多い。肥満傾向の乾癬は絶食療法と黄連解毒湯、大柴胡湯、防風通聖散のいずれかの併用で一時的には必ずよくなる。食生活がポイントの場合がある。一方、虚弱者、高齢者の乾癬は非常に難治である。症状・兆候・全身状態を勘案し、温清飲、荊芥連翹湯、桂枝加黄耆湯、真武湯、黄連阿膠湯などが選択される」と記されています。

 私は実証タイプには標治(皮膚に現れている症状の治療)として大柴胡湯、本治(体質を改善)として桂枝茯苓丸を併用処方し、虚証タイプには標治として温清飲、本治として桂枝茯苓丸の併用処方をよくしています。乾癬の患者さんは実証タイプの方が多く、そして瘀血の病態が絡んでいるようです。瘀血の程度が強ければ、桃核承気湯や通導散を処方しています。なかなか治らないケースもありますが、よくなる患者さんもいて乾癬に対しても漢方治療は有用な治療手段と思います。

2016.12.30記載

 

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